物を運ぶ手段はいろいろあります。
荷物の重さベースの統計では
半数以上をトラックなどによる車での輸送に頼っています。
渋滞緩和や二酸化炭素排出量を抑えることなどを目的とした
“モーダルシフト”という貨物輸送を鉄道などへと転換する
試みもありますが、天候不順や自然災害などのリスクを分散するために
トラックやトレーラーなどでの道路輸送は臨機応変に対応できる大切な
手段なのです。
物流は経済を支える縁の下の力持ちですが、
ドライバーの活躍なしでは成り立ちません。
ところが近年、ドライバー不足が深刻化しています。
少子化で若者が減り続けていることも関連して
ドライバーの高齢化も進んでいます。
そのような状況でも企業と現場のドライバーの
頑張りによって滞りなく物は運ばれていますが、
このことがひとつの原因として、
“物流の仕事はキツイ、厳しい”と思われてしまう
悲しい一面もあります。
ニュースなどで話題になる車の完全自動化もまだ先のこと。
モーダルシフトもあまり進んでいないのが現状です。
経済を支える人材が慢性的に足りない状況で
ベテランに加え、若い世代の活躍も期待されています。
物流のドライバーに求められることは
「時間に正確なこと」と思い浮かぶでしょう。
その他にも顧客から求められることは
積荷の丁寧な扱い、服装・身なり・言葉づかいなどの
マナーがあります。
しかし、大型車を運転する上で忘れてはならない、
もっとも気をつけなければならないのが“安全運転“です。
事故を起こすと、大型車は乗用車に比べて
大きな事故になる確率が高いのです。
原因で一番多いのが“追突”。
さらに交差点と並んで直線道路での事例も多いのが特徴。
ひとつの原因として、大型車に特有の
上から見下ろす視点での運転が関係しています。
常に視界に流れる路面がよく見えることによる目の疲労があるほか、
乗用車やバイク、歩行者などの動きを軽く見てしまう
自分より低いもの小さいものに対する本能的な気持ちが
出てしまう傾向があります。
車間距離や運転中にどの辺りを見ているのかなど
大型車に乗っていないときでも意識していたいですね。
さらにリスクを減らすためにも体調管理はとても大切。
プロドライバーが気をつけていることは、
安全運転や休憩に続いて、じゅうぶんな睡眠と食事です。
精神面も含め、常に万全な体調管理で事故を防ぐ。
物流を支えたいと思う人は、
運転技術の習熟以前にぜひ習慣化しておきましょう。
ドライバー不足の解決は急務となりつつあります。
技術の発達によってトラックドライバーは要らなくなるという
記事も時折見られます。
しかし、乗用車ですら“安全な完全自動運転”には
まだ解決しなければならない問題が多いのです。
乗用車ほど大量生産・低コスト化が見込めない上、
大型トラックやトレーラーの自動運転においては
車両の特殊性や積荷によって変わる運転の注文への
対応が極めて困難です。
技術の面から少し詳しくご紹介すると、自動運転に欠かせない
コンピュータによる判断は確率論で成り立っています。
ところが状況から導き出された理論的な確率と
現実に起こり得る確率にはわずかですが誤差があります。
2016年にアメリカで自動運転の乗用車による
ドライバーの死亡事故が起こりましたが、
ご紹介したように大型車での事故は大きなものになる
傾向があります。
人だから事故を起こさないわけではありませんが
自動運転化も未だ万能ではありません。
法整備も問題です。
時代によって仕事が少なくなる職業はありましたが、
まだ大型ドライバーの活躍の場は続くのではないでしょうか。
ただし、企業やドライバー個人の頑張りだけに頼らない、
“物流に優しい社会”にもなることは皆が取り組むこととして
変わらなければいけないことなのかもしれません。
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