その国がどういう文化、社会レベルかを知るにはその国の憲法を見ればわかるといわれていますが、社会福祉、特に障害者の社会参加についてもあてはまると思います。特に働く、働こうとする障害者への対応について見ていきましょう。
日本では、障害者雇用促進法という法律で、企業に対して雇用している労働者の数の2%について障害者の採用を義務付けることで働く、働こうとする障害者への社会参加を促しています。
これを守らない企業には、納付金という形で罰則が適用され、この資金をもとに働く、働こうとする障害者の社会参加、つまり就業のための費用にあてられています。特に車いすを利用されている障害者の方を考えればわかるように、通常の就労場所では働く障害者にとって非常に使い勝手が悪いというレベルではなく、そもそも不可能です。
したがって、雇用する企業としてはスロープや専用のエレベータ、トイレといった設備の工事などの改良が必要です。そして、そのための資金が必要なのです。
逆にいえば、それだけ資金として使えるほど納付金を徴収されている企業が多いということになるわけで、実に残念な話です。残念ながら、日本の社会文化レベルはまだまだ改善の余地がありそうです。
欧米では、こういった働く障害者への対応についての考え方には宗教的なバッググラウンドがあるため、整備がなされていることが多いのだと思います。日本の社会福祉はそういう面で、どうしても少し意識が低くなっているのかもしれません。欧米では、働く障害者への対応について評価されるという風土がある点も日本とは異なります。
また、働く、働こうとする障害者に方への職業の訓練やあっせんなどは一定の水準で行われているようですが、こちらもまだまだ課題がたくさんあります。
そもそも営利を追求していかなければならない企業にとっても原則とうまくなじみにくいということがあるのでしょう。製造の場所自体を国内から海外に移転させるくらいですからこれはかなりむつかしいのが現実です。
この問題は、障害の有無に関わらず全国人的に考えなければならない問題ですが、あまりにも他人事であるというが現実でしょう。
しかし、良く考えてみればこの先自分が絶対に障害者にならないと断言できるでしょうか?
障害者という定義は実はさまざまな設定がされているのですが、ここでは詳しくはご紹介できません。詳しくは身体障害者福祉法施行規則について具体的な定義などについての記載があります。
ここで申し上げたいのは、みなさんやみなさんのご家族だっていつ障害が生じる事故や病気などがあってもおかしくはないということです。
だれしもが関わる可能性があるということを理解する必要がありますし、そうでなかったとしても他人事にすべきではありません。
自分たちの問題として、働きたい、働く、働こうとする障害者へどういった社会参加の場面を提供するべきか、そして自分たちはどのように関わるべきかについてあまりにも無知といえるでしょう。
最近は大手企業を中心に、働きたい、働く障害者に向けて障害者採用の門戸を開きつつありますが、実際は障害の程度が軽い方ばかりを採用してるという指摘があります。もちろん企業側もなかなかすべてを受け入れるのは難しい側面もありますし、中小企業においても資金的な問題でむつかしい点があることは理解できます。
これはわたしたち一人一人が、障害者の社会参加、働く障害者への対応や生かし方をもっと考えないと今後も良くはならないように思います。
経済の状況も良くなったと言われているとはいえ、企業も体力がない、自分たちも生活が大変な中でそう簡単にできないことなのかもしれませんが、働く、働こうとする障害者を生かせる社会にしていきたいものです。
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